どうしてFRPフューエルタンクを作るのか

デーククラフトがFRP燃料タンクを作るきっかけになったのは、店主を含めて旧車のタンクが錆びて困っている方がたくさん居たためです。カウルやシート、フェンダーなどは社外品のFRP製品が手に入るためそれほど困りませんが、燃料タンクは社外品がほとんど出回っていませんでした。多くのみなさんがネットオークションなどで中古品を入手するわけですが、程度の差こそあれ少なからず錆が発生しており、『そのうち穴があく』を繰り返すというパターンでした。高温多湿の日本では冬でも燃料タンク内で結露が発生して水が溜まるため、通勤や通学などで頻繁に乗る方でなければ、錆が発生します。これは多くのバイクが鉄製燃料タンクを使っている以上避けては通れないことで、それじゃぁ絶対錆びない燃料タンクは?と考えたときにたどり着いた答えは二つでした。アルミもしくはFRPです。アルミは高い質感を実現できるのですが、STDの形状を再現しようとすると金型が必要になるためコストがかかり、また高度なプレス技術も欠かせません。うちのような個人商店にはハードルが高すぎました。FRPは質感と経年変化によるクラックが心配だったのですが、製造方法を工夫することで高い耐久性が実現できますし(既に40年近い製造実績があります)、質感に関しては完璧にSTD形状を再現することが可能ですので、高品位な塗装を施すことで純正に引けを取らない質感が実現できました。

 

そしてここからは我々売る側の事情になります。時代はだれもがネットショッピングを利用する現代。歯磨き粉のような日用品から、電化製品、場合によっては車やバイクまでネットで買える時代です。価格コムを見れば最安値が簡単に見つかり、ポチッとすれば数日後には自宅まで商品が届きます。オイルやプラグ、サスペンションやブレーキなども検索すれば安い商品がいつ届くかが判るわけです。自分もパソコン関係や電化製品など同じように検索して安いモノを探しますから、事情はよく分かります。ですからデーククラフトのような(レースベース車以外)車両販売をしない個人商店が、多くの在庫を抱えて商売することにあまり意味がなくなってきたのです。ではどうやって生き残ればいいのか。それはネットでは見つけられない高度な技術と、大手パーツメーカーが決して手を出さないようなコアな商品を売ることです。デーククラフトで企画販売しているFRP燃料タンクは、物凄く手間暇がかかります。文字通り1ヶずつ手作りです。決して安い商品ではありませんが、製作にかかる時間を考えれば大手パーツメーカーは絶対に手を出さないでしょう。ただ出来上がった商品を見て作った我々もその出来映えに大いに満足していますし、これまで納品したお客様の笑顔は本当に作って良かったと思えるモノでした。

 

画像や私のつたない文章ではなかなかその良さが伝わらないのですが、この素晴らしい商品を多くの方に理解していただくために、これからデーククラフトはいろんなイベントに出店してPRしていきます。お近くの方は是非見て触って実感して下さい。