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スーパーカブを味わいつくせ!

昨年営業車をアドレズV100からCT110に替えました。還暦を目の前にして人生初のカブ主です。これまでにもお預かりした車両の試乗などで、ちょこちょこ乗ってはいたんですが、自身の愛車として深く付き合ったのはこれが初めてです。

スーパーカブと言えば、2017年に全世界での累計販売台数が1億台を超えたことがニュースとなりましたね。2輪に興味のない人でも、郵便や新聞配達といえばスーパーカブ、丈夫で壊れず燃費もいい小さな働き者であることはご存知でしょう。何しろメイトやバーディーといった競合他社のバイクまでひっくるめてカブと言うぐらいですから。

 

1952年自転車に取り付ける補助エンジンキットとして誕生したカブは、高度経済成長期に実用車として日本人の暮らしを支えてきたわけですが、1990年代後半にリトルカブが発売になったあたりから、若者のファッションアイテムとしても人気となりました。丈夫で経済的なだけでなく、ちょっとおしゃれでかわいいバイクとして人気を高めていったのです。


店主も昨年念願かなってCT110を手に入れました。手に入れてみて解ったのですが、カブは経済的で丈夫なだけのバイクではありません。たかだか7馬力ほどの空冷OHC単気筒105㏄ですが、4速ミッションを駆使して持てるパワーをフルに絞り出せば、十分に交通の流れをリードできますし、自動遠心クラッチをどういうふうに扱えばスムーズに走れるか考えながらのライディングは楽しみですらあります。

 

それともう一つの美点。それは以前から言ってることですが、このホンダ横型エンジン、4サイクルエンジンの基本を学ぶには格好の教材だという点です。もちろんエイプなどの縦型エンジンでもいいんですが、エンジンがほぼむき出し状態の横型エンジンなら車載状態で腰上がバラせますので、ほとんどのエンジン整備を気軽に行えます。エンジンに興味のある人は、まずはサービスマニュアルを手に入れて最低限の工具を揃え、エンジンの中身がどうなっているのかバラしてみるといいでしょう。四苦八苦しながら組み立てて再びエンジン始動した時の喜びは、お気に入りのゲームを最後までクリアしたのに負けないぐらいの達成感があると思いますよ(店主はゲームしないから知らんけど)。

 

さらにもっと興味がわいてきたら、ポートいじってみたり圧縮上げてみたり、バルブクリアランスやバルブタイミングを変えて、エンジンのキャラクターがどう変化するか確かめるのはさらに楽しい作業だと思います。エンジンチューニングの第一歩を経験するとき、ビッグバイクではお金がかかりますし、何より全開まで回してその変化を体感するのは至難の業です(公道では危険が伴いますし、法令違反になりかねません)。このあたりの作業に興味のある方は、ヨシムラジャパンさんのサイトに4ミニのチューニング方法を紹介したページがありますので覗いてみてください。

https://www.yoshimura-jp.com/special/4st-mini/

なかでも『ヨシムラ流バルブタイミングの調整方法』はPDF版をダウンロードできるので、持っておくと何かと役に立つと思います。バルブタイミング調整とピストン‐バルブクリアランスの測定方法が詳しく解説されています。これは基本編ですが、4気筒もDOHCも基本的な考え方は同じです。

 

店主も学生時代、エンジンの中身ってどうなってるんだろう?と思って自分のバイクをバラしてみたんですが、当時の愛車はSRX600でした。よせばいいのにいきなり大きなバイクをバラしてしまったので、案の定トラブってエンジンかかるものの、走ると5速に入らない…。仕方ないので当時の熊本ヤマハのサービスまで乗って行って、社員の方の目の前でもう一度エンジンをばらしたんですが、5速を表裏ひっくり返して組んでました。いきなり600㏄をバラす自分もなんですが、それを会社でもう一度バラさせて指導していただいたサービスのTさんも今ではちょっと考えられないですね。

 

良い子の皆さんはまずはホンダ横型エンジンでしっかりと経験を積みましょう。